どうして栄養医学が必要なのでしょう。

患者主体の医療

そのような中で今や医学は、医師ペースな知識と技術によってというよりも患者サイドや社会のニーズによって展開されるようになって来ました。私共のクリニックでは、栄養医学を1987年の開業以来進めて来たのですが、21世紀に入ってからの患者さんの理解や受け入れ方の改善には驚いております。

例えば、病態改善の基本である貧血の治療が進まないので、ヘリコパクターピロリの治療を、私共は大学病院よりも5-6年早く始めましたが、栄養医学をしている胡散臭いクリニックというとんでもない認識があり、いくら説明しても治療に同意しない患者さんが1990年代にはいたものです。その他、医師や患者さんの中傷は多かったのですが、今や多くの医師が治療法を聞きに来るし、患者さんも遠くから来院されるようになりました。

 これには、健康・ダイエットブームによってサプリメントを摂る機会が多くなると共に、アメリカなど海外からの帰国者の健康管理やサプリメントについての情報提供、そして何よりもインターネットによる情報獲得が大きく影響していると思われます。テレビでも、昨今は健康に関する番組が増え、医師が他の医師の治療の未熟さを指摘するようなことを多くの視聴者が見ていることも、実は医療情報に関する人々の主体的な収集を動機付けていると言えましょう。

 特に精神的な症状を訴える人々が多くなっておりますが、実のところ精神科へ相談に行くことは躊躇するようです。心療内科や神経科・神経内科などへの来院も増えています。しかし、ストレスの多い社会で精神・神経の異常を起こすことも多くなり、納得のいく治療法を提供する医学は、患者にとっては少ないのではないでしょうか。この不安と現実が、情報を求める一般の人々を含めたニーズにもなっていると思われます。