どうして栄養医学が必要なのでしょう。

「ホメオスターシス」

ホメオスターシス(生体恒常性)とは、外部環境の変化に対して、体内の調節機能が働くことによって、身体の状態が常に―定に保たれていることを言います。例えば外の気温が40℃であっても、マイナス10℃であっても、それによって体温が著しく上がったり下がったりすることはありません。その調節機能が働くためには、当然エネルギーが消耗され、必要なビタミン・ミネラルが使われます。しかし、栄養状態が悪かったり、悪条件が続いたり、重なったりすることによって、調節機能が歪みを起こし、ホメオスターシスが次第に乱れることになります。

健康を支える三本柱は運動、栄養、休養ですが、この中で最も大切な栄養が足りなかったり、バランスが崩れたりすると、ストレスや加齢に十分対応できなくなります。こういう状態が続くと、ホルモン、自律神経に異常が生じます。その結果、人が本来持っている生体恒常性(ホメオスターシス)が乱れて、発病することとなります。ホメオスターシスが健全であり、身体が健康であれば、病原菌にも対抗できるのです。外国では何でもない最近やウィルスによる病気が、日本人には命に関わるような重症になることが見られています。

私たちの身体を作り出しているのは、薬ではなく栄養です。体内に取り込まれた栄養が細胞の隅々にまで行き渡って重要な役割をしているのです。今、私たちは、身体が必要としている栄養を十分摂っているでしょうか。

「現代の食生活、環境は健康的でしょうか」

食物・食品に含まれる栄養素の量と質が著しく悪くなっています。近年、養殖・栽培技術が進歩し、旬でない時期でも美味しい野菜・肉・魚介類がいつでも手に入ります。昔ながらの露地栽培に比べて、土壌がやせ日照不足により各栄養素が昔に比べ減少しているものが多くなっています。食品成分表を見ると版が改訂する度にミネラルの減少が明らかになります。普段、食事をしっかり食べていても必要量に達しないことがあり、偏食・欠食では栄養素がより不足して体調不良、発病の引き金になる可能性があります。

加工食品では、素材の食物に含まれていたビタミン・ミネラルの多くが損なわれ、また有害な添加物が含まれることがあります。加工食品、半加工食品、冷凍食品などは加工や保存によってビタミン、ミネラルが損失します。また、添加物が多く使われています。穀類、砂糖、塩などは精製されて、ビタミン、ミネラルがほとんど残らないようになってしまっています。

食生活の変化も著しく悪化しています。若い世代だけでなく都市生活者では、ファーストフードやコンビニ弁当に見られるような脂肪、砂糖の非常に多い食事が増えています。都市化が地方にも広まり、食生活が日本全体で悪化しているのが事実です。スロー・フードなどの必要が叫ばれていますが、健全な食生活を保つことができるのは、非常に限られた一部の人であり、一般の人にとって、家族が共にゆっくりと手作りした料理を日常的に取るということは、困難になっています。

生活環境も悪化しています。現代社会では、人はみな過度のストレスにさらされています。不規則な生活、アルコール、タバコ、カフェイン、大気汚染、そして有害電波や電磁波、放射線などによって体内の栄養素が消耗し、細胞を傷つけるフリーラジカルが発生します。テレビやコンピューターを長時間見ることが多くの人々にとって日常化し、その疲労・ストレスは多くの心身の病気の原因ともなっています。